口腔機能発達不全症とは?小児歯科でチェックするお口の機能
最近、小児歯科で働き始めたことをきっかけに、改めて小児歯科について勉強しています。
その中で、私自身が「もっと知っておきたい」と感じたのが、口腔機能発達不全症です。
子どものお口というと、むし歯や歯並びに目が向きやすいですが、実は「食べる」「飲み込む」「話す」「呼吸する」といった、お口の機能も大切です。
今回は、歯科衛生士の視点から、口腔機能発達不全症について分かりやすくまとめます。
口腔機能発達不全症って何?
口腔機能発達不全症とは、食べる・飲み込む・話す・呼吸するなどのお口の機能が、年齢や発達に応じて十分に身についていない状態を指します。
例えば、
- 食べ物をうまく噛めない
- 飲み込むのが苦手
- 食べるのが遅い
- お口がポカンと開いている
- 舌がうまく動かせない
- 発音が気になる
- 唇をしっかり閉じられない
など、さまざまなサインがあります。
ただし、これらの症状が1つあるだけで、すぐに「口腔機能発達不全症」と判断されるわけではありません。
子どもの年齢や発達段階などを考慮しながら、お口の機能を総合的に確認していくことが大切です。
子どもの「食べる・飲み込む・話す・呼吸する」をチェック
子どものお口には、歯を使って食べるだけではなく、さまざまな役割があります。
食べる
食べ物を口に取り込み、噛んで唾液と混ぜ、飲み込みやすい状態にします。
飲み込む
舌や唇、頬などを使って、食べ物や飲み物をスムーズに喉へ送ります。
話す
舌や唇、口の周りの筋肉などを使って、さまざまな音を作ります。
呼吸する
鼻や口を使って呼吸します。
このように、お口は「歯が生えていれば大丈夫」というものではありません。
歯だけではなく、お口全体がうまく機能しているかを見ることも大切です。
口腔機能発達不全症は何歳からチェックする?
口腔機能は、成長とともに少しずつ発達していきます。
そのため、年齢や発達段階によって確認するポイントも変わります。
診療報酬上も、2022年度の改定で小児口腔機能管理の対象年齢が見直され、対象となる年齢が広がりました。
ただし、「3歳になったら全員が同じ検査をする」というものではありません。
普段の食事の様子や、お口の使い方、発達の状態などを見ながら、必要に応じて確認していきます。
歯科医院では何をチェックするの?
では、実際に歯科医院ではどのようなところを見ていくのでしょうか。
子どもの年齢や発達状況などによって内容は異なりますが、主に次のようなことを確認します。
① 問診票で普段のお口の状態を確認
まずは、普段の様子を保護者の方から聞き取ります。
例えば、
- 食事に時間がかかる
- 食べ物を丸飲みしている
- 硬いものを嫌がる
- 食べこぼしが多い
- お口が開いていることが多い
- 発音が気になる
などです。
診察室だけでは分からない、普段の生活の様子を知ることが重要です。
② お口の中や歯並びをチェック
次に、お口の中を確認します。
歯の生え方や歯並びだけでなく、
- 舌の位置
- 唇の状態
- 頬の動き
- 口腔内の形態
なども確認します。
「歯並びだけを見る」のではなく、お口全体の状態を見ることがポイントです。
③ 頬の筋肉を触ってチェック
食べ物を噛むときには、歯だけでなく頬や顎の周りの筋肉も働きます。
そのため、実際に筋肉の状態を触って確認することがあります。
左右でしっかり使えているかなど、子どもの発達に合わせて確認していきます。
④ きちんと飲み込めるかチェック
食べ物や飲み物を飲み込むときには、舌や唇、頬などが協調して動きます。
そのため、唾液や水分などを飲み込む様子を確認することがあります。
飲み込むときにどのように舌や唇を使っているのかを見ることも大切です。
⑤ 「さ・た・か」などの発音をチェック
発音にも舌や唇の動きが関係しています。
年齢や発達に応じて、特定の音が正しく発音できているかなどを確認することがあります。
ただし、発音の発達には個人差があるため、年齢だけで判断するのではなく、発達段階を考慮する必要があります。
⑥ 舌がしっかり動くかチェック
舌は「食べる」「飲み込む」「話す」ために重要な器官です。
舌を前に出したり、左右に動かしたり、上に持ち上げたりするなど、年齢に応じて動きを確認します。
ここで注意したいのが、舌小帯の見た目だけで問題を判断しないことです。
舌小帯が短く見えても、実際の舌の動きや口腔機能に問題がない場合もあります。
そのため、形だけではなく、実際の機能を含めて評価することが大切です。
⑦ 唇を閉じる力をチェック
唇をしっかり閉じることも、お口の機能の一つです。
唇の閉鎖がうまくできるかどうかを確認するために、専用の器具を使用して測定することもあります。
例えば、**「りっぷるくん」**という口唇閉鎖力を測定する器具があります。
こうした検査も、子どもの年齢や発達、診療内容に応じて行われます。
なお、診療報酬の点数や算定条件は改定されることがあるため、実際の算定についてはその時点の最新のルールを確認する必要があります。
「舌小帯が短い=問題」ではありません
子どものお口を見ていると、「舌の裏側の筋が短いのでは?」と気になることがあります。
しかし、舌小帯の見た目だけで「問題がある」と判断することはできません。
大切なのは、
舌が実際にどのくらい動くのか。
食べる・飲み込む・話すといった機能に影響があるのか。
ということです。
見た目だけで判断せず、年齢や発達、実際のお口の機能を合わせて考える必要があります。
口腔機能をチェックすることで何が分かる?
口腔機能を確認することで、普段は見過ごしていた「お口の使い方」の特徴に気づけることがあります。
例えば、
「食べるのが遅いのは、この子の個性かな?」
「いつも口が開いているけど大丈夫かな?」
「発音が少し気になるけど、年齢的にどうなんだろう?」
といったことも、歯科医院で相談するきっかけになります。
もちろん、すべてが病気や異常というわけではありません。
だからこそ、気になることがあれば早めに相談し、成長に合わせて経過を見ていくことが大切です。
歯科衛生士が子どものお口を見るときに大切なこと
小児歯科というと、まず「むし歯を作らないこと」が思い浮かぶかもしれません。
もちろん、むし歯予防はとても大切です。
でも、子どものお口を見ていると、それだけではないと感じます。
歯が生えて、噛めるようになって、飲み込めるようになって、話せるようになる。
その一つひとつの成長を支えるのも、小児歯科の役割の一つです。
歯科衛生士としても、
「歯を見る」だけではなく、「お口がどのように使われているかを見る」
という視点を持っておきたいと思っています。
私自身、最近小児歯科で働き始めたことで、改めて勉強することがたくさんあります。
大人の歯周病予防とは違った視点が必要なので、これからも小児歯科について少しずつ学んでいきたいと思います。
まとめ|子どもの「歯」だけでなく「お口の機能」も見てみよう
口腔機能発達不全症は、子どもの「食べる・飲み込む・話す・呼吸する」といったお口の機能に関係するものです。
歯科医院では、年齢や発達に応じて、舌や唇の動き、飲み込み、発音などを確認します。
子どもの成長には個人差があります。
「これって大丈夫なのかな?」と気になることがあれば、自己判断せず、かかりつけの歯科医院で相談してみるのがおすすめです。
子どものお口は、歯だけではなく「機能」も一緒に見ていくことが大切です。


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