「歯のクリーニングだけなのに、何回も歯医者に行かないといけないの?」
そう思ったことはありませんか?
「できれば1回で全部キレイにしてほしい!」
実は、こう思っている患者さんは少なくありません。
保険診療で歯周病の検査や治療を行う場合、検査→歯周病治療→再評価という流れで進めることが基本になります。
そのため、状態によっては複数回の通院が必要になります。
一方で、「時間がないから、できるだけ1回で済ませたい」という方には、自費診療のクリーニングという選択肢もあります。
今回は、保険診療と自費診療のクリーニングの違いについて、歯科衛生士の立場から解説します。
保険診療のクリーニングは、なぜ何回も通うの?
保険診療で歯周病の治療を行う場合、一般的には次のような流れで進みます。
1回目:お口の中を検査
まず、
- 歯周ポケットの深さ
- 歯ぐきからの出血
- 歯の動揺
- プラークの付着状況
などを確認します。
ここで、お口の中が現在どのような状態なのかを把握します。
必要に応じて、レントゲンなどの検査を行うこともあります。
そして患者さん自身にも、
「ここに磨き残しがありますよ」
「この部分は歯周ポケットが深くなっています」
など、現在のお口の状態を知ってもらいます。
2回目:歯周病の治療・クリーニング
検査結果をもとに、歯石やプラークを除去していきます。
歯ぐきの状態や歯石の付着量によっては、1回ですべて処置できないこともあります。
その場合は、何回かに分けて処置を行います。
3回目:再検査
クリーニングをしたら、それで終了……ではありません。
歯ぐきの状態が改善したかどうかを確認するため、再度検査を行うことがあります。
「歯ぐきの出血は減ったか?」
「歯周ポケットは改善したか?」
「磨き残しは減ったか?」
などを確認します。
状態によっては、追加のクリーニングやセルフケアの指導を行います。
このように、保険診療では「検査→治療→再評価」という流れで進めるため、複数回の通院になることがあります。
「何回も歯医者に行くのは面倒!」
これは、患者さんから本当によく聞く言葉です。
「仕事があるから何回も通えない」
「歯医者に何度も行く時間がない」
「できれば今日全部やってほしい」
その気持ちも、よくわかります。
そこで選択肢になるのが、自費診療のクリーニングです。
自費のクリーニングなら1回でできる?
自費診療の場合、保険診療とは異なり、医院が独自に内容や料金を設定できます。
そのため、
「1回の予約で、検査からクリーニングまでまとめて行う」
といったサービスを提供している歯科医院もあります。
もちろん、口腔内の状態によっては1回で十分に処置できない場合もあります。
歯石が大量についている、歯周病が進行しているなどの場合は、複数回の処置が必要になることもあります。
自費クリーニングはいくらくらい?
料金は歯科医院によってかなり違います。
1万円前後のところもあれば、数万円、中には5万円以上するところもあります。
「どうしてこんなに値段が違うの?」
と思いますよね。
自費診療は、医院ごとに、
- クリーニングにかける時間
- 検査内容
- 使用する器具
- クリーニングの方法
- 個室などの設備
- 予約時間の取り方
- その他のサービス
などが異なるためです。
ただし、高い=必ず優れている、安い=質が低い、というわけではありません。
料金だけで判断せず、「何をしてくれるのか」を確認することが大切です。
自費クリーニングのメリットは「時間を買える」こと
自費クリーニングのメリットのひとつは、時間をかけて処置してもらいやすいことです。
保険診療では、保険制度のルールに沿って診療を行う必要があります。
一方、自費診療では医院独自のメニューを組むことができます。
そのため、
「今日は60~90分かけて、じっくりクリーニング」
というようなサービスもあります。
何度も歯科医院に通う時間がなかなか取れない人にとっては、
「通院回数を減らすために、お金を払う」
という考え方もできます。
ただし、クリーニングは1回やれば終わりではない
ここは非常に大切です。
どんなに丁寧なクリーニングを受けても、1回受けたら一生キレイな状態を維持できるわけではありません。
毎日歯を磨いていても、プラークはまた付着します。
そのため、お口の状態に合わせて定期的なメインテナンスを受けることが大切です。
一般的には3~6か月程度の間隔でメインテナンスを行うことがありますが、必要な頻度はお口の状態によって異なります。
歯周病のリスクが高い方は、もっと短い間隔での管理が必要になることもあります。
私が実際に自費クリーニングを受けてみた感想
私自身、以前に1万円前後の自費クリーニングを受けたことがあります。
使い捨てできる器具は使い捨てにしてくれたり、器具の滅菌もしっかり行われていたりして、感染対策の面でも安心感がありました。
また、保険診療のクリーニングとは違って、時間に余裕を持って処置してもらえるため、ゆったりと施術を受けられたのも良かったです。
ただ、少し遠方の歯科医院だったため、何度か通ったところで通院をやめてしまいました。
内容としては、
「時間をかけて丁寧にクリーニングしてもらいたい」
という人には、選択肢のひとつだと感じました。
「保険と自費、どっちがいいの?」
これは、どちらが優れているという話ではありません。
例えば、
保険診療が向いている人
- 歯周病の治療が必要
- 定期的に歯周病を管理したい
- 費用を抑えたい
- 複数回の通院が可能
自費クリーニングが向いている人
- とにかく通院回数を減らしたい
- 1回の予約で長めに時間を取ってほしい
- クリーニングに時間をかけてほしい
- 保険診療とは違うサービスも受けてみたい
というように、自分のライフスタイルや目的で選ぶとよいでしょう。
「近所の歯医者、ちょっと合わないな」と思ったら
「いつも短時間で終わってしまう」
「もっと丁寧にクリーニングしてほしい」
「歯科衛生士さんにじっくり相談したい」
そんな不満があるなら、一度、自費のクリーニングを試してみるのもひとつの方法です。
ただし、自費だから必ず良いというわけではありません。
料金だけを見るのではなく、
「どんな検査をするのか」
「何分くらい時間をかけるのか」
「どんなクリーニングをするのか」
「その後のメインテナンスはどうするのか」
まで確認してから選ぶことをおすすめします。
歯のクリーニングは、一度キレイにして終わりではありません。
自分のお口に合った方法で、無理なく定期的に続けること。
それが、健康な歯を長く維持するために一番大切なことです。
