「エアフローとSCは、どっちを先にやればいいの?」
歯科衛生士としてメインテナンスをしていると、一度は気になるところではないでしょうか。
結論からいうと、EMSのGBT(Guided Biofilm Therapy)では、エアフローでバイオフィルムを除去したあと、残った歯石を除去するという流れが基本です。
ただし、「エアフローを先にする=すべてのメインテナンスで必ずエアフローが先」ではありません。
ここでは、通常のエアフローとGBTの違いも含めて、分かりやすく解説します。
エアフローとSCはどっちを先にする?
まず、エアフローとSCは目的が少し違います。
エアフロー
エアフローは、専用のパウダー・水・空気を使って、歯の表面などのバイオフィルムやステインを除去する処置です。
特に、歯ブラシでは落としにくいバイオフィルムやステインの除去に使用されます。
EMSのAIRFLOW®も、エアー・水・パウダーを組み合わせてバイオフィルムやステインを除去するエアポリッシング技術です。
SC(スケーリング)
SCは、スケーラーなどを使用して歯石などの硬い沈着物を除去する処置です。
つまり、
エアフロー=主にバイオフィルム・ステイン
SC=主に歯石などの硬い沈着物
と考えると分かりやすいでしょう。

GBTって何?
GBTとは、EMSが提唱している**Guided Biofilm Therapy(ガイデッド・バイオフィルム・セラピー)**のことです。
単に「エアフローを使うこと」をGBTと呼ぶわけではありません。
GBTは、バイオフィルムを中心に評価・除去を行い、必要な部位に器具を使用する8ステップのプロトコルです。
EMSによると、GBTは大学や歯科医療従事者との共同研究によって開発されたプロトコルで、予防・メインテナンス・治療を目的として体系的に行うものとされています。
GBTの8ステップ
GBTでは、基本的に次のような流れで処置を行います。
① 評価・感染管理
まず、歯・歯肉・歯周組織などの状態を確認します。
インプラントがある場合は、インプラント周囲の状態も確認します。
② 染め出し
バイオフィルムを染め出して、どこに残っているのかを確認します。
患者さん自身にも見てもらうことで、セルフケアの問題点を共有しやすくなります。
③ 動機づけ・TBI
染め出しを利用して、患者さんに現在の口腔内の状態を説明します。
「ここに磨き残しがあります」と具体的に伝えることで、セルフケアの改善につなげます。
④ AIRFLOW®
染め出したバイオフィルムやステインをエアフローで除去します。
GBTでは、まずバイオフィルムを除去することが大きなポイントです。
⑤ PERIOFLOW®
必要な症例では、ペリオフローを使用して歯周ポケット内のバイオフィルムを除去します。
使用する部位や深さなどは、患者さんの状態や使用機器の適応に合わせて判断します。
⑥ PIEZON®
エアフローなどでバイオフィルムを除去した後、残っている歯石を除去します。
ここで初めて、必要な部位を狙ってスケーリングを行います。
⑦ 最終チェック
バイオフィルムや歯石が残っていないか確認します。
また、むし歯などについても確認します。
⑧ リコール
患者さんのリスクや口腔内の状態に合わせて、次回のメインテナンス時期を設定します。
GBTでは「エアフロー→歯石除去」が基本
EMSのGBTでは、
バイオフィルムを見えるようにする
↓
エアフローでバイオフィルムを除去
↓
必要に応じてペリオフロー
↓
残った歯石をPIEZON®で除去
という流れになっています。
EMSもGBTについて「AIRFLOW® FIRST」「残った歯石をPIEZON® PSで除去」という考え方を示しています。
そのため、GBTの考え方では、
「最初から全体をSCする」のではなく、まずバイオフィルムを除去し、その後に残った歯石を狙って除去する
というのがポイントです。
でも「エアフローを先にする」が絶対ではない
ここは大切です。
GBTを導入していない医院で、エアフローを通常のメインテナンスの一部として使用している場合、処置の順番は医院の術式や患者さんの状態によって変わります。
例えば、歯石が大量に付着している患者さんでは、先に大きな歯石を除去してからエアフローを行うことも考えられます。
一方、
- バイオフィルムが多い
- ステインが多い
- 歯石が少ない
- SPT・メインテナンスで定期的に管理できている
といったケースでは、エアフローを先に行い、その後に必要な部位だけ歯石を除去するという考え方がしやすくなります。
つまり、
「どちらが絶対に正しいか」ではなく、患者さんの状態と医院のプロトコルによって判断する
ことが大切です。
「エアフロー=GBT」ではない
ここは患者さんにも歯科衛生士にも分かりにくいポイントです。
エアフローは処置・技術の名前。
GBTは一連の治療プロトコルの名前。
と考えると分かりやすいでしょう。
例えば、
「ステインが多いからエアフローを使う」
というだけでも、エアフローを使用したメインテナンスです。
一方GBTでは、
評価
→ 染め出し
→ 動機づけ
→ エアフロー
→ 必要に応じてペリオフロー
→ 残った歯石の除去
→ 最終チェック
→ リコール
という一連の流れで行います。
そのため、
「エアフローを使っている=GBTをしている」
とは限りません。
SCを先にやっていた人は間違い?
「今までSCしてからエアフローしてたけど、間違いだったの?」
と思うかもしれません。
でも、必ずしもそうではありません。
通常のメインテナンスでは、患者さんの歯石量やステイン、バイオフィルムの状態、医院の術式などによって処置の順番は変わります。
一方、EMSのGBTプロトコルでは、バイオフィルムを先に除去して、残った歯石を後から除去するという考え方が明確になっています。
つまり、
「SCが先=間違い」ではなく、「GBTではエアフローを先にする」という違い
と考えると分かりやすいでしょう。
まとめ
エアフローとSCの順番で迷ったら、まずは何を目的に処置しているのかを考えると分かりやすくなります。
一般的な考え方
エアフロー
→ バイオフィルム・ステインなどを除去
SC
→ 残っている歯石などを除去
GBTの場合
評価
↓
染め出し
↓
動機づけ
↓
エアフロー
↓
必要に応じてペリオフロー
↓
残った歯石をPIEZON®で除去
↓
チェック
↓
リコール
という流れです。
大切なのは、
「エアフローを先にやること」そのものではなく、バイオフィルムを中心に口腔内を評価し、必要な処置を必要な場所に行うこと。
これがGBTの考え方です。

